出典:2025年6月11日 日本経済新聞 朝刊4ページ
成年後見制度をご存じでしょうか?
これは、判断能力が十分でない高齢者や障害のある方を守るために、後見人が財産管理などを行う仕組みです。ところが、この制度には「いったん始めると、やめるのが難しい」という大きな課題がありました。
法制審議会(法律を見直すための専門機関)は2025年6月10日、この制度の見直しに関する中間試案をまとめました。
新しい試案では、家庭裁判所が判断すれば、制度の利用を終了できるルールを新たに作ることが提案されています。
どう変わるの?
これまでは、遺産分割や不動産の処分などの手続きが終わった後でも、本人の判断力が完全に回復しない限り制度をやめられないことが多かったのです。
そのため、案には、あらかじめ家庭裁判所が利用期間を定めて満了時に利用を終了できる案が盛り込まれました。後見人を交代させやすくする規定も検討されています。
新しい案では、利用を継続することが適切かどうかをチェックするため、利用期間の設定についても次の3案を示しています。
- 期間を設けない
- 家庭裁判所があらかじめ期間を定める
- 定期的に家庭裁判所に制度利用の必要性を報告することを後見人に義務付ける
これからの流れ
6月下旬にはパブリックコメント(国民の意見募集)が行われ、意見を踏まえて最終案が作られます。2026年度までに民法など関連法律の改正を目指すとのことです。
まとめ
今回の見直しは、試案では、判断能力が回復しなくても利用を継続する必要がなくなったと家庭裁判所が判断した際には終了できるようにすると明記されています。
「成年後見制度をもっと本人のために、柔軟に」
という方向に進めるものですよね。
必要なときに必要なだけ使い、不要になったらスムーズに終わらせる——そんな仕組みになれば、本人も家族も安心できますね。
足立区足立の司法書士金山友子事務所