
町会・自治会の「認可地縁団体」ってなに?わかりやすく解説します
みなさんが住んでいる地域には、「町会」や「自治会」があると思います。お祭りや清掃活動、防災訓練など、地域の暮らしを支える大事な存在ですよね。
でも、実はこれらの町会・自治会、法律上は「権利能力なき社団」とされていて、ちょっと不便なことがあるんです。たとえば、不動産(土地や建物)を自治会の名前で所有したくても、それができない…。じゃあどうするの?というと、理事長さんの個人名義だったり、役員さんたちの共同名義だったりで登記されてきました。
でも、それでは理事長さんが引っ越したり亡くなったりすると、名義の変更や相続の問題が起きて大変ですよね。
そんな悩みを解消するためにできたのが「認可地縁団体」、つまり町会や自治会をその目的の範囲内で“法人格”を認め、団体として登記できるようにする制度なんです。
「認可地縁団体」とは?
町会・自治会が法人化するためには、市区町村から「認可」を受ける必要があります。
この認可を受けた団体のことを「認可地縁団体(にんかちえんだんたい)」と呼びます。
この団体になると、いくつかのことができるようになります:
- 団体の名前で不動産を登記できる(=理事長個人名義にしなくてOK)
- 団体として契約を結んだり、財産を持てるようになる
つまり、町会・自治会としての活動がしやすくなるんですね。
法人化するには何が必要?
町会・自治会が認可地縁団体として認められるには、いくつかの要件があります。
- 地域で実際に活動していること
(清掃・防災・集会所の管理など) - 明確な活動区域があること
(たとえば「○○町1丁目~3丁目」など) - その地域に住んでいる人なら、誰でも構成員に加入できること
- 構成員がある程度いること
- 規約があること
(活動内容や代表者の選び方などを定めたルール)
「地縁による団体」が法人化する目的は、元々は不動産を団体名義で登記することにあり、認可にあたっては、不動産を保有することが前提となっていましたが、令和3年の地方自治法の一部改正により、「地域的な共同活動を円滑に行うこと」が認可の目的となりました。
これらを満たしたうえで、申請書や名簿、会則、議事録などを市区町村に提出して「認可」を受けます。
※詳しくは各自治体のホームページを参照してくださいね!
不動産の名義変更も簡単に!
認可地縁団体になると、理事長名義などになっていた土地や建物を自治会の名義に変更することができます。
このときの登記手続きは「所有権移転登記」の形で行われます。ただし、実際には名義人が変わるだけで、財産の本当の所有者(実質的なもの)は変わりません。
手続きに必要なのはこんな書類:
- 市町村長発行の認可地縁団体の証明書
- 登記されてる名義人の方の印鑑証明や登記済証
- 不動産の評価証明書 など
- 登記原因証明情報
※もし理事長さんが亡くなっていた場合でも、その不動産は相続財産に入らないので、相続登記は不要です。ただし、相続人全員が登記の申請者になります。
特別なケース:「名義人が不明な場合」
不動産の名義人やその相続人の居場所がわからず、登記ができない…というケースも少なくありません。
そんなときのために、認可地縁団体の不動産登記の特例制度も用意されています。
この制度では、以下のような条件を満たしていれば、自治会が単独で登記できるようになります。
- 10年以上その不動産を占有していた
- 元の名義人は全員、昔の地縁団体の構成員だった
- 所有者や相続人の一部または全部が不明
この場合、自治体に申請して一定の手続き、公告を行って、異議がなければ自治会の名義で登記できるという流れになります。
最後に
町会や自治会の法人化は、単に「書類上の整理」ではなく、地域活動の継続性や安心感を高めるためのとても大切なステップです。
もし、みなさんの地域の自治会でこういった問題に直面しているようなら、一度「認可地縁団体」について話し合ってみるのもいいかもしれません。
「これからも安心して暮らせる地域」をつくるために、制度をうまく活用していきましょう!