配偶者居住権とは?~残された配偶者の住まいを守る新しい制度~
1. 配偶者居住権ってなに?
配偶者居住権とは、夫婦で住んでいた家にそのまま住み続けられるようにするための「住む権利」のことです。
たとえば夫が亡くなって、その家が夫名義だった場合、本来なら他の相続人(たとえば子ども)と分け合う必要があります。でも「配偶者居住権」を使えば、配偶者は賃料を払わずに住み続けることができるのです。

2. 誰が、どうやって取得できるの?
取得の方法は以下の2つです:
- 夫(被相続人)が遺言で「妻に居住権を与える」と書いていた場合
- 相続人たちの話し合い(遺産分割協議)で決まった場合
注意点としては、「亡くなったときに配偶者が実際にその家に住んでいたこと」が必要条件です。
3. 遺言がなかった場合でも大丈夫?
大丈夫です。遺言がなくても、残された配偶者がその家に住んでいれば、他の相続人との話し合いで配偶者居住権を取得できます。
もし話し合いがうまくいかない場合は、家庭裁判所に相談して判断を仰ぐことも可能です。
4. 登記って必要?
はい、登記はとても大切です。
登記することで「この家には配偶者居住権がある」と公的に証明され、後から他人に「出ていってください」と言われるようなトラブルを避けることができます。
登記は法務局で行います。書き方や必要書類は法務局のホームページでも案内されています。
5. 家主との関係はどうなるの?
配偶者は家に無償で住めますが、いくつかルールがあります:
- 勝手に賃貸したり増改築はできません(所有者の承諾が必要)
- 修繕は基本的に配偶者が自費で行います
- 固定資産税は所有者が納税しますが、配偶者が一部負担するケースもあります
6. 同居や賃貸はできる?
- 家族や家事手伝いの同居はOKです。
- ただし、他人に貸す場合は所有者の承諾が必要です。
7. 老人ホームに入ることになったら?
配偶者居住権は売ることはできません。
ただし、建物の所有者と話し合って、配偶者居住権を放棄する代わりにお金をもらうことは可能です。あるいは、所有者の承諾があれば他人に貸して家賃収入を得ることもできます。