
遺産分割協議書と遺産分割協議証明書ってなに?それぞれの違いを解説します
相続の手続きについて調べていると、「遺産分割協議書(いさんぶんかつきょうぎしょ)」という言葉はよく出てきます。でも、「遺産分割協議証明書(いさんぶんかつきょうぎしょうめいしょ)」というのは、あまり聞きなれない方も多いのではないでしょうか。
実はこの2つ、とてもよく似ているけれど、使い方や書き方にちがいがあるんです。
この記事では、法律のことがよくわからない方でも安心して読めるように、やさしい言葉でそれぞれの違いを説明していきます。
遺産分割協議書とは?
「遺産分割協議書」は、相続人どうしで「誰が何を相続するのか」話し合って決めた内容をまとめた書類です。
たとえば、
- 不動産は長男がもらう
- 預金は次男と長女で半分ずつにする
といった話し合いがまとまったら、その内容を1枚の書類にして、相続人全員が署名と押印(ハンコ)をします。
この協議書があれば、
- 法務局で不動産の名義変更ができる
- 銀行でお金の引き出しができる
など、いろいろな相続手続きに使うことができます。
ただし、この書類を使うには、全員の署名と押印が1枚にそろっている必要があるため、みんなが近くに住んでいない場合は、書類を郵送で回したりして、手間と時間がかかることもあります。
遺産分割協議証明書とは?
一方で、「遺産分割協議証明書」は、協議の内容を証明するための書類で、相続人ごとに別々に書類を作ることができるものです。
たとえば、相続人が日本中に散らばっているような場合、
- 1枚の書類に全員の署名・押印をもらうのは大変…
というときに便利なのが、こちらの方法です。
この方法では、
- 相続人ひとりずつが、自分用の証明書に署名・押印をする
- それぞれが個別に書いても、全員分がそろえば有効になる
という特徴があります。
つまり、「1枚に全員で書く」のが協議書、「バラバラに1人ずつ書く」のが証明書という違いです。
どっちを使えばいいの?
それぞれの特徴をふまえて、こんなふうに使い分けるとよいでしょう。
状況 | 向いている書類 |
---|---|
相続人がみんな近くに住んでいる | 遺産分割協議書 |
相続人がたくさんいる・遠方に住んでいる・外国に住んでいる | 遺産分割協議証明書 |
遺産分割協議書の場合、持ち回りで署名を集めなければならいですが、遺産分割協議証明書の場合、一度に郵送で済ませられるので、時間も短縮できて、紛失リスクも少ないというメリットがあります。
ただ、同じ遺産分割協議証明書を全員分そろえる必要があるので、だれか一人が内容を変更してしまったりすると、同じ遺産分割協議証明書に署名したとはいえないので、注意が必要です。
最後に
どちらの書類も、「誰が何を相続するか」をはっきりさせるために必要なものです。
形式が違うだけで、効力は同じなので、状況に合わせて使いやすい方を選ぶのがいいと思います。